おちょこ (お猪口) とは?
おちょことは、日本酒を飲む際に使われる小さな酒器です。語源は「ちょこっと飲む」からきているとも言われ、古くから家庭や宴席で親しまれてきました。
おちょこが日本酒に使われる理由は、香りや温度を適度に楽しめるサイズであることに加え、注ぎやすく受け取りやすい形状であるため、お酌の所作が自然に行える点も挙げられます。一度に飲み切れる量のため注ぎ足しの機会が多く、会話や交流が生まれやすいという利点もあります。
ちなみに、おちょこ1杯はおよそ30〜60ml。一合(180ml)はおちょこ約3〜6杯分、一升(1.8L)は約30〜60杯分にあたります。一升瓶から注がれても、おちょこだと“ちびちび”楽しむ雰囲気が生まれます。
おちょこの使い方とマナー
注ぐとき・受け取るときの所作
宴席などでは、相手に注ぐ際は両手で徳利を持ち、丁寧に注ぎます。受け取る側もおちょこを両手で持って受けるのが礼儀です。自分の酒を自分で注ぐのは避け、場面によっては互いに注ぎ合うのが日本的なマナーです。
飲むときの振る舞い方
おちょこはあくまで繊細な酒器。勢いよく飲み干すのではなく、香りを感じつつ口元に静かに運び、ゆっくり味わうのが基本です。飲みかけのおちょこを置いてひと息つくのは自然なことですが、注がれた酒にはなるべく手をつけるように心がけると、丁寧な印象になります。
おちょこの形状と味わいへの影響
口が広いタイプ
すぼまった口径
背の低いタイプ
背の高いタイプ
厚口タイプ
薄口タイプ
蛇の目模様入り
※他の酒器(平盃、ぐい呑み、ワイングラスやストレートグラスなど)との比較は別記事をご覧ください。
👉 日本酒グラス・酒器の選び方|容量・形状・素材で変わる味わい
おちょこの素材別の特徴
陶器・磁器のおちょこ
吸水性があり、温かみのある質感が特徴です。やや厚みのあるものが多く、燗酒との相性が良いとされています。手にしっとりとなじむ感触や、土の風合いを楽しみたい方に向いています。デザインや色合いのバリエーションも豊富で、贈り物にも選ばれることが多い素材です。落ち着いた印象のギフトとして、世代を問わず喜ばれます。

ガラスのおちょこ
見た目が涼やかで、冷酒にぴったりの素材です。透明感があり、酒の色や照りを視覚的に楽しめる点も魅力です。熱伝導は低めで、冷たさをキープしやすく、薄口タイプが多いのも特徴。夏場や、すっきりとした酒を飲みたい場面に向いています。涼やかな印象があり、季節感のあるギフトとしてもおすすめです。
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錫・金属製のおちょこ
金属特有の光沢と重みがあり、趣味性の高い酒器として人気です。熱伝導が非常に高いため、冷酒をすっきりと引き立てるのに適しています。一方で燗酒には不向きとされますが、常温の酒との相性も良好。滑らかな口当たりと高級感のある佇まいが魅力です。高級感のある贈り物として選ばれることもありますが、デザインや金属の質感は好みが分かれることもあります。

まとめ|自分に合ったおちょこで日本酒をもっと楽しもう
おちょこはただの小さな酒器ではなく、日本酒の香り・温度・文化を楽しむための大切な道具です。素材や形状、使うシーンに合わせて、自分だけの“お気に入り”を見つければ、日本酒の時間がもっと豊かになります。お気に入りのおちょこを見つけて、いつもの一杯をちょっとだけ特別にしてみてください。